行方不明A

「そう・・・だよね。冒険者にふさわしくないからなくなったんだ・・・」
パステルはガクっと肩を落とし、それきりその場に座り込んでしまった。
泣く。このまんまじゃ、まちがいなく、泣く。
「〜ったく・・・・」
もういいや、言っちまえ。今しかねー。
今しか言う時がねー!!!!
「てめー、一回しか言わないから良く聞けよ!」
「え?」
「冒険者じゃなくなったら、うちにくりゃいいじゃねーか」
「へ?」
「だあら。冒険者じゃなくなったら、嫁にもらってやる!!!!以上!!」
自分でもわかるくらい顔が真っ赤になっているのがわかる。
言っちまった。もう後戻りできねー。
「ほんと・・・・?」
「馬鹿!ここで嘘つく馬鹿がいるか!ほんともほんとだっ」
「嬉しい・・・」
目の前のばかやろーは、呑気に微笑んでいやがる。
俺は奴をそっと抱き寄せた。

みすず旅館に帰ると、皆してまだ奴のカードを探している最中だった。
俺は奴の原稿を適当にあさった。
んだよ。
あるじゃねーか。

俺の手には、燦然と輝く冒険者カードが。
「あったの!?やったー!!!ありがとうトラップ!!!」

カードは見つかったが、俺の気持ちは行方不明のままだぜ。パステル。


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