行方不明@

「ない!ない!なーーーいっっ!!!!!」
朝から盛大な大声で目を覚まさせられる。
んだよ。こんな朝早くから。
なにが起こったってんだ。
とりあえず俺は、声の主がいるであろう女部屋へと向かった。
「パステルー、どしたってんだ、朝からうるせーぞ」
俺同様、クレイ、ノル、キットンの奴らも集まってきた。

「おいてめー。入んぞコラ」
返事がない。
もう知らねーぞ。
「ないのよ、私の冒険者カード。。。!!!!」
「困りましたね、それではパステルが冒険者じゃなくなってしまいますねえ・・・・」
「全員の荷物に紛れ込んでないか、調べたほうがいいんじゃないのか?」
こいつ。冒険者カード無くしやがった。
どこまでドジなんだよ、ったく。
泣きそうになってやがるし。
「ったく、ボサッとしてるからそんなことになんだよ。だいたい普段からてめーは危機感っつーもんが
・・・」
言いかけて、やめた。
こいつのことだから、今は責めてもしょうがねえ。
仕方なく、奴のカード探しを手伝うことにしたのだった。
「おら、外行くぞ、外!」
「外?何でよ」
「原稿出しに行った時とかに落としたのかもしれねーだろ。」
「ほら、手!」
「手?」
「迷子になられたんじゃたまんねーんだよ。いいから手、出せ!」
という訳で、俺たちは外、残りのメンバーは荷物をかたっぱしから調べることになった。
「あんまりぐいぐい引っ張らないでよ、痛いよ」
「うるせー」
悔しいのは、こんな状態なのに嬉しい俺。嬉しい俺?勘弁してくれよ。
んなわけねー。困ったモンだぜ。
「ちゃんと目え、凝らしとけよ。どこにあるかなんて俺は知らねーからな」
「ええ、トラップもちゃんと探してよね」
「ったく、どこまでもめんどくせー野郎だぜ」
賑やかに続くメインストリートを歩くが、カードなんて一枚も落ちてなんかいねえ。
「もう、歩けない・・・」
小高い丘まで来たとき、パステルはガクッと座り込んで動かなくなった。
「んだよ、もう弱音か?こんなんだからカ−ド無くすんだよ。神様かなんかが
こいつ冒険者にふさわしくねーって思ったからわざとなくしたんじゃねーのか?」

言って、後悔した。
言っちゃいけないことだった。


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