トロイメライ・キスE

トラップの唇は、予想よりも温かだった。
私は、ドキドキする胸を必死に抑えながら、できるだけ長く口づけした。
えーい、ままよ!

すると。

パチッ

トラップの瞳が開いたではないか。
「ちょ、おまえ、なに・・・・」
「トラップーーーー!!!!」
私はトラップにしがみつき、わんわん泣いた。もう、これ以上ないっていうくらいに。

その声を聞きつけて、みんながバタバタとやってくる。

と。現実に戻った私。

え。てことは。最愛の人って。えーーーー!!!!???

「気持ちわりぃ蛾に刺されたとこまでは覚えてる」
「あとの記憶はなし、ですか・・・トラップらしいというかなんというか!」
「で、パステル」
キットンの目が私に注がれる。いや、全員の目が。

「したんですか?!ぐふふ、パステルも乙女なんですねえ」
「わ、私は、助けようと思って・・・」

「してねえよ。」
え。
「自分で気いついた」

トラップがパチンと私にウインクした。
そっか。
あとあと、パーティが気まずくなっちゃうもんね。
彼なりの気遣いだ。

言葉がなくてもわかる。だってさっきから後ろ手で私の手をギュッと、握っていてくれてるんだもん。


「トロイメライ・キス 完」